『Downfall』:社会の設定

まずこのゲームでは、滅びに向う社会を作る。これから作り上げる社会がロールプレイを通じて滅びへと向う。そういう社会であるからには、気軽に作っても仕方がない。ここで今回のセッションでは2時間かかったし、他のセッションでも1時間〜1時間半はかかるのではないだろうか。
まったくのまっさらな状態で始める場合、安全地帯【Haven】と、そこに降りかかる危機【Flaw】、そしてその安全地帯を含めて世界をかたどる要素【Element】と、Havenのあり方をきめる掟【Tradition】を、ルールに沿って決めていく訳だが、ルールブックでは11個の推奨セット【Guide】が作られていたので、我々はそれに従っていくことにして、相談の末、現代を舞台にして部外にはおかしなカルト集団に見えるかもしれないが、実は世界を守っている「知られざる者たち【Unspeakable】」を選んだ。
これによって危機や要素、掟の候補が、ある程度提示されるのだが、その中から選び出していくのは我々プレイヤである。では、今回、選ばれたのは何かというと……。

危機

選んだのは「不信」。
世界を守りつつも、その団体の中では不信が渦巻くというストーリィ性に引かれて選ばれた。
他に提示されていたのは「信仰」と「知識」であった。

要素

ここで世界をかたどる要素を決める。推奨セットからそれなりの数が提供されるが、その中から今回選ばれたのは「アーティファクト」「海」「ささやき声」であった。
これによって話し合いの末、今回の舞台設定が決められた。

海辺の寒村。海から定期的に押し寄せる邪悪を防ぎとめるため、アーティファクト灯台の明かりとして使われている。もしアーティファクトの力が使われなくてはならないような際には、人々の耳に囁き声が聞こえるだろう。

ここで6つの掟を決定する。私は六条の掟と、WoD的に一人盛り上がったが、そういうわけではない。システム的には、各自1つの掟を作り、それでは足らないからもう1周掟を作ろう、程度のものだと思う。

掟(その1)

今回、推奨セットから定められ、それを元に作った掟は以下の通り。そしてその詳細が、隣のプレイヤによって決められていく。

  • 共同体で行われる祭りによって、我々の正気は保たれる。
    • 大きなかがり火の周囲で踊り祭る。
  • 聖なる火によって、オカルト的な力が保たれている。
    • 聖なる火を守る役割を持つ者は特別なコインを所有する。
  • 聖なる火を保つため、(死の神との)邪悪な契約が結ばれている。
    • 六十年に1度、六十の命を黄泉の神に捧げる。
掟(その2)

次の、残る3つの掟は提供されたカテゴリからフリーワードで決めていき、同様に隣のプレイヤによって詳細が決められていく。

  • 教育:過去の記録が残っていて、上から下への引継ぎが完璧に行われている。
    • 深海和尚が、知識の引継ぎのすべてを担っている。
  • 名付け:カルトの成員は、海あるいは炎にまつわる名前を使う。
    • 指導者は代々、「カグツチ」と名前を使っている。
  • 死:カルトの任務で死んだ時、その場所で神主が御祓いをする。
    • 御祓いをするのは、黄泉の神に魂を渡すため。

主要登場人物

ここから主要登場人物3人を、つまり問題を解決すべき「英雄【Hero】」、その英雄に問題をもたらす「【Fallen】」、そして双方に関わらぬ一般人代表たる「傍観者【Piller】」が設定されていく。これらはすべて持ちまわりで演じられるキャラクタで、だからこそ全員で協力して作っていくことになる。
こうして英雄として地元の青年団の団長である英雄:諏訪 湊(スワ・ミナト)、Fallenとして英雄の指導者でありその伯母でガミガミうるさいPTAの会長的な鹿島明子(カシマ・アキコ)、そして傍観者として熊野次郎(クマノ・ジロウ)が設定された。

安全地帯【Haven】の名前

これで事前準備、と言うかこれから崩壊へと導くべき世界設定は、ほぼ完了である。最後に残されたのは安全地帯【Haven】を我々はどう呼んでいるのか、その名称の決定だけとなった。
ここまでの設定を決める中、色々と話をしているうちに、灯台のそばには田舎には相応しくない規模の公民館があり、しかもその公民館のとある一室は常にいつも「陶芸教室」の名目で予約が抑えられていることが話題に出ていた。
これによって公民館の館長はカルトのメンバであることが認識され、我々のカルト名は〈陶芸教室〉に、そして灯台は〈窯〉と呼ばれている、ということになった。

経過時間

ちなみにここまでで2時間が経過。
こうして結構な労力をはらって作った秘密結社を自分たちの手で壊していくのだが、あれほどまでに心痛める崩壊を迎えることになろうとは、神ならぬこの身には解るはずもなかったのであった……(参加者のお土産のチーズケーキをおいしく食べながら)