納剣の儀式

 フマクトに入信するためには神自身がそうしたように、それまでの社会との関係をすべて絶たねばなりません。親族関係すら絶たれ、犯罪を犯した場合も元家族が贖罪する必要は無く、またヒョルトの法もその身を守ってはくれません。共同体信仰から得られるはずの利益すら得られません。
 しかしフマクトは北風の神としての関係はすべて絶ちましたが、死と誓約の神としてオーランスとあらたな同意に達し、兄弟としてではなく、戦近侍の中の戦近侍、守護戦士としてオーランスの部族の中に留まりました。
 そう、信者もこれと同じ行動を取れます。それが納剣の儀式【The Resheathing】です(『Storm Tribe』96ページ参照)。これはオーランス信者の祭儀であり、「唯一の日(嵐の季・移動の週・風の日)」の祭礼の一部として執り行われます。こうしてフマクト信者は再びヒョルトの法の内側の存在となり、氏族に受け入れられることになります。
 この神話、“守護戦士”フマクト【Humakt the Champion】は『Storm Tribe』108ページに書かれています。この日本語訳はありませんが、これを元にした英雄の探索行“死なる剣”【The Sword that is Death】の日本語訳はこちらにあります。