通勤途中にて

 フレックスを活用して朝のラッシュを避け、ノンビリと電車で椅子に座って『王の帰還』でも読もうかなとしたところ、隣の席の女性も読書中のようでチラと目をやると、えらく書面が黒い。
 ?と、今度は少し繁々と目をくれると一面漢字だらけで、どうにも中国語の本らしい。中国人なのか日本人なのか、顔を見ても解らなかったので、勉強なのか読書なのかも想像つかず、まあ「凄いねぇ」と思いながら自分の本に集中しようとしたとき、「郭襄」との文字が目に入った。
 「郭襄」と言えば無論のこと郭靖と黄蓉の娘ではないか。とすれば、この女性、もしや金庸の『神都侠侶(邦題:神都剣侠)』(日本語は徳間書店)を読んどるのかいな、と、こんどはあからさまに文面に(漢字だらけだが)目を配り始める。もうアレだ。隣の人のスポーツ新聞を一心不乱に読むオッサン根性まるだしで。でも、その甲斐あって、神都大侠「楊過」を発見。おお。
 お嬢さん。なんてイイものを読んでいるんだ。凄ェ、らぶりーだ。しかも『神都侠侶』とはセレクトもいい。武侠物だが、純愛物でもあるしな。ラストの盛り上がりも格好いいし。
 朝からほっこりといい気分になる*1

*1:まあ、それも仕事に入るとすべて失われたけど。