神野と山本

 まあどっちもどっちか、それぞれ西と東の妖怪の総大将*1である。妖怪というよりは悪鬼魔神の類だろうか。山本はこれで「サンモト」と読み、名を五郎左衛門と言う。時には山ン本五郎左衛門や出雲五郎左衛門とも書かれ、『稲生物怪録』に登場することは知っている。翻って神野はというと、神野悪五郎天狗というくらいだから天狗なのだろうなァという程度で、『稲生物怪録』にチラと名前は出てくるけれども、その他には如何なる文献に出てくるのかまったくわからない有様。そこで、ネットで検索をカマしてみると、出てくる出てくる名前持ちの連中が、

  • 神野長雲
  • 野間閉息童
  • 神野悪五郎日影
  • 山本五郎左衛門百合
  • 焔野天左衛門
  • 羽山道龍
  • 北海悪左衛門
  • 三本団左衛門
  • 川部敵冥

 このうち神野長雲と神野悪五郎は同族かとも思えるし、山本五郎左衛門と三本団左衛門もともにサンモトであるからには某かの関係があるのだろう。しかしその他の神性(魔性か)についてはさっぱりで、どうしたものかと思っていたら東雅夫の編集で毎日新聞社から、

 なんて代物が出ているという。山本だけじゃあなくって、神野悪五郎も出ていると言うし、焔野典左衛門も北海悪左衛門も三本団左衛門についても触れられているとの事。『稲生物怪録』物については、昔から一度ガッチリ取り組みたかったテーマでもあるので、この本を足がかりにでもしてみようか。

*1:「西と東の妖怪の総大将」近年、この2柱が出てきた作品といえば、藤田和日郎うしおととら』(小学館)が有名なのかな。東西の長がそれぞれ神野と山本を名乗っていたな。宇河弘樹朝霧の巫女』(少年画報社)はどうなんだろう? あれも平成稲生物怪録だか何だかを名乗っていたはずだが。