『Fiasco』「ラッキーストライク」編

1944年11月……フランス
このプレイセットでは、フランスはルアーブル近郊にある米国陸軍キャンプ・ラッキーストライクに設置された人員補充所を舞台とする。
 
1944年秋において、米国陸軍は新兵を鍛え上げるよりも多くの歩兵を失うという状況下にあった。お粗末な計画とドイツの粘り強さのため、欧州戦域の前線において深刻な人的資源不足が引き起こされていた。それに対する浅はかな解決方法が人員補充所である。
人員補充所は後方の安全な場所に設営されており、新たな補充先を待つ兵隊たちにとっては一時的な安息地であった。ある者は負傷から回復し、ある者は新技能訓練と呼ばれる訓練のために来た新兵であり、またある者は何らかの(得てして後ろ暗い)理由で「追放」された者である。
彼らは人員を必要とする部隊に送られるが、それは得てして彼らの専門性を考慮しないものだった。例えば対空砲射撃手や対戦車車両乗りが歩兵大隊に放り込まれたり、戦車など見たこともない者がシャーマン戦車に押し込まれ習熟を求められたり、と言った風に。
何年も訓練をともにした戦友から引き離されて、ひとたび人員補充所に行き当たれば彼らに再会などできる可能性など無かった。そして退屈とモラルの低下は犯罪と愚かさへと通じていく。
まあ、要するに、これが【Fiasco】。

fasco

音節fi・as・co 発音記号/fiˈæskoʊ|‐kəʊ/

【名詞】

【不可算名詞】 [具体的には 【可算名詞】](《複数形》 fiasco(e)s)
(野心的な企てがこっけいな結果で終わるような)大失敗.

用例:The party was a fiasco. そのパーティーは大失敗だった[に終わった].

【語源】

イタリア語「瓶」の意; ガラス製品作りに失敗した材料から「瓶」を作ったことから

システムはこちら。プレイセットには公式から配布されている「ラッキーストライク(リンク先はPDF)」を使用した。

キャラメイク

下記表が決定され、そこからみんなの妄想が妄想を呼び、どうにも

  • 「実は殺人犯」であるとりのキャラクタ(女、赤十字の看護婦)は「ヤク中」である。
  • 彼女にクスリを売っている「売人」の八劔は、その売り上げをいかさま賭博に注ぎ込んでいる「カモ」である。
  • いかさま賭博の胴元である「ペテン師」のミハイルは風俗に入れ込む「顧客」である。
  • そして最終的に金は、「ポン引き」の「古参兵」である何か屋*1の元にあつまる。

という流れが決定された。こういうのが面白いように固まっていくのが『Fiasco』やライフパスがあるシステムの好きな点だ。
今回は私と嵐丸くんのキャラクタが微妙に流れから外れてしまったが、今にして思えばお互いに「金持ちになる」という目的を持っていたので、そこでもっと上記の渦に飛び込めたかもしれない。

  • 鮎方
    • 人間関係:「新技能訓練」をうける「場違いな農夫たち」
    • 物品:「機動力」として「大佐のジープ」
  • 嵐丸
    • 人間関係:「戦友」で「新兵と古参兵」
    • 目的:「いかさまカードゲームで」「金持ちになれ」
  • 何か屋
    • 人間関係:「ブラックマーケット」で「ポン引きと顧客」
    • 目的:「フランス人に」「仕返しだ」
  • ミハイル暁
    • 人間関係:「犯罪」で「ペテン師とカモ」
    • 場所:「ルアーブルルーアン」にある「???(失念)」
  • 八劔
    • 人間関係:「ブラックマーケット」で「麻薬の売人とヤク中」
    • 物品:「機動力」として「パイパーL4A、二人乗り飛行機」
  • とり
    • 人間関係:「戦友」で「Secret Murderers」
    • 目的:「貴重品を密輸して」「金持ちになれ」
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セッション

流れとしては、慰問会を開き、そこでのブック込みのボクシング大会でイカサマ博打を行い、上官に良い目を見させて前線送りを免れようとする動き。それからケシ畑栽培で一攫千金を狙う動き。この2つに分かれた。
途中、終盤になってから何か屋が良い目を見ようと「娼婦になっていた幼馴染の女の子との再開」イベントを突如演出したり、とりが自分のシーンの演出中にミハイルのキャラをドツボに陥れようとしたり、などというアクシデントもあったが、おおむね綺麗に終結した。
最終的にはラッキーストライクは腐敗が激しいとキャンプ閉鎖となり、そこにいたほぼ全員が前線に送り込まれることになる。
ミハイルは昇進し、その新設ラッキーストライク部隊の隊長として活躍するのだが、その余りにもの突撃少尉っぷりに、後ろからの流れ弾にあたり戦場に屍をさらすことになった。
八劔は無事マフィアから逃げ出すことに成功するも一生、マフィアに追われ続け、その影におびえる生活を続けた。
とりは中毒患者として入院し、その生涯を病院で過ごすことになった。
鮎方は追っ手を犯罪者力で殺し名前を変えて逃げ延び、フランスで孫に囲まれて優雅な老後を過ごした。
嵐丸は麻薬栽培の罪に問われ、2155突撃師団*2に送り込まれるも、かろうじて生き残り何とか成功を掴んだ。
何か屋は望みどおり幼馴染と一緒にくらすも犯罪者組織に入り込んだ政府諜報員として生き残ることになる。時折、家に黒衣の男が訪れるも、優しい奥さんはその友達のことについては何も尋ねなかったという。
どっとはらい

雑感

全般的には楽しんでもらえたようで満足。
「最初は戸惑ったが、回してみると何とかなるもんだな」という感想を貰う。だが、同時に「米軍基地といわれても舞台が思い浮かびにくい」というのもあった。
前者はシステム、後者はプレイセットに対する感想なので、やはりプレイセット選びは重要なのだなあと思う。そういう意味では「ドラゴンスレイヤー」で遊ぶのが良かったかもしれない。ファンタジーが舞台なので、「村人全員をアンデッド化」とか「酒ゴーレム」とか好きなことを好きなだけ言えるから。すでに私自身が2度ばかり「ドラゴンスレイヤーをやっているので、ちょっとした我侭で回避したのが少しばかり悪い目に出た気がする。

*1:何か屋:しかし懐かしい単語である。元ネタの「伺か」なんて死語も良いところじゃあなかろうか。

*2:2155突撃師団:提案者は八劔。元ネタは『クレギオン』。でもありゃあ本来はライアーの部隊なのだし、どちらかと言えば存在するのはドイツ軍じゃあないのかいね。