入院一日目

入院決定時点で、常に体温40度以上を維持している状態である。
インフルエンザ、マイコプラズマノロなどの検査もしていただくが全て陰性とのこと。だけど白血球の数値をみるに、ウイルス性気管支炎だろうとのこと。数値がひどいので入院を優しい笑顔で勧められる。あと血液検査の結果、肝臓の数値も悪いので、一週間アルコールも抜きましょうか?とも優しい笑顔で言われる。
脱水症状も起こしているようで、1.5リットルほど生理食塩水ぽいのを点滴される。また汚い話しだが、脱水症状に絡んでいるのだろう下痢も酷い。肛門に力入れてきちんと踏ん張れており、自分の認識では全然問題ない状態であっても漏らすなどとは思いもしなかった。お陰でリハビリ・パンツなる、オムツのレベルアップ版をはいて数日を過ごすことになる。
とまれ抗生剤や3種5錠の薬のお陰もあって、19時頃か、すこし体温がマシになる。が、まだけだるく、寝ているのか寝ていないのかよく解らない状態が続く。

この状態で見た夢が最高に気持ちよかった。あれは百万世界の合であった。
自分の記憶にある諸作品の英雄たちが現れては見せ場を再演し、また別の英雄に入れ替わっては新たな見せ場を目の前の演じてくれる。それが次から次へと入れ替わり立ち替わり、延々と続くわけで、正直これだけで高熱に浮かされた甲斐はあったと思っている。
だって目の前でゴラムが火口へ落ちて行き、目の前で〈法〉へと天秤は傾くんだから。戦士の銃だってこの目で見たし、「私がお前の父だ」だってこの耳で聞いた。小説、アニメ、漫画、映画、本当になんでもありだった。
おそらくあれは走馬灯の一種であったような気もするのだが、それでもまさしくあれは百万世界の合であった。