『ヒーローウォーズ』
ナレータ
- 鮎方
登場人物
- PC
- NPC
- “探索者”チェアナン【Chernan the Seeker】(ランカー・マイの下位カルト神)
- ハーバー(ヒョルト、狩人、オデイラ):ニイナの息子。ニイナを探す。
- ニイナ(ヒョルト、狩人、オデイラ):女狩人。トロウルにさらわれる。
- オバナグ(ウズコ、戦士、ヴァニーカラ帰依、ゾラック・ゾラーン入信)
シナリオ
ナレータ向け情報
- 概要
- 嵐の季も終わりだというのにまるで闇の季のような寒さの続く数日。ヒーローたちは某かの用事で外出しており、吹雪のため道に迷ってしまう。その最中、トロウルに母親をさらわれた少年と出会う。ヒーローたちはトロウルと戦い、無事母親を取り返さなくてはならない。
- 縁故
- ニイラとハーバーの母子はともにオデイラの信者であり、ヒーローと同じ氏族のものである。ニイラはトロウルにさらわれるが、これはヒーローたちを小屋から外に追い立てるフックに過ぎず、薄っぺらな存在なので不必要かも。もしくはもっと厚みを持たせよう。
- 秘密
- ヒーローたちはただ道に迷っただけではなく、余りもの闇のルーンの高まりの為、物質界から英雄界(嵐の領域の暗黒の時代)に迷い込んでしまっている。ヒーローはそこで神話の再現としてトロウルを退治し、奪われたものを取り返し、物質界に戻らなければならない。このヒーロークエストの主体はトロウルたちである。彼らは「ヘドコーランスからスリングを取り返すまで」の神話を再現しようとしているのだ。ヒーローたちはその探索行に巻き込まれてしまう。
- 神話
- そもそもヘドコーランスの持つスリングは、オーランスが闇の勢力から奪ったものであり、ある日、オーランスの農場が闇の勢力に襲われたとき、ヘドコーランスはそのスリングを奪い返されてしまった。ヘドコーランスは賢者の助言を得、エルマルやオデイラ、ヴィンガといったオーランスの留守を守る仲間たちと闇の勢力の後を追い、スリングを無事取り返し、闇の猛威を払ったのである。
シーン1:雪山登山
キーポイント
闇の季のような寒さの嵐の季末。ヒーローたちは吹雪を避けなくてはならなくなるセッティング
今回はクイヴィン山脈を越えている最中。別に場所は野外であればどこでも構わない。吹雪のために、ヒーローたちは直ぐにも道に迷うか凍えてきてしまい、命の危機が感じられてくる。結果、安全な場所を探さなくてはならなくなる。アクション
ボールドホームからの極秘任務の帰り、クィヴィン山脈を越えているところ、吹雪に会う一行。確かにここ数日、もう嵐の季も終わりだと言うのに、まるで闇の季が再び訪れたかのような寒さで、この日の吹雪もまるで厳冬であるかのような勢いである。もうすでに雲厚く、太陽はいずこにか去り、まるで夜のようにも感じられる。しかし無論、夜のようとはいえ、星の明りがあるはずも無い。雪は積もり足を取られる。このままでは遭難の末、死んでしまうだろう。
この寒さ、吹雪に抵抗する(ドラゴンパスの厳冬:5w4):寒さが寒さなので、気付かないようであればナレーターはヒーローに魔法を使うよう持ちかけた方がいいだろう。魔法を使用した場合、難易度は14になる。
抵抗が失敗をしつづけているようなら、何度でも再チャレンジをさせてもよいが、余りの寒さのために「負傷(あらゆる判定に−1)」が増えつづけていく。
シーン2:小屋の先客
キーポイント
避難所を探し出すと、そこは記憶にあるものとは違い、そして既に先客がいた。セッティング
吹雪の最中から避難所へ。アクション
吹雪の最中、避難所を探し出さなくては成らない。避難所を見つける(17):地元のキャラクターと言うのであれば、縁故での判定で場所を思い出しても構わない。
失敗すると、ヒーローたちはドンドンと道に迷ってしまう。これもまた捜索が失敗をしつづけているようなら、「負傷(あらゆる判定に−1)」が増えつづけていく。
無事、避難所を探し出すと、そこにはチェアナンと名乗る先客がいる。髭を生やした老人で、ヒーローたちのカルトを瞬時に見抜き、そのカルトの神名そのものでヒーローたちに呼びかける。
チェアナン、ランカー・マイの下位カルト神
魔法:《知識》《読み書き》《探索》
秘密:チェアナンは「ヴィングコットの子らの時代」にランカー・マイの部下であった。危険にも関わらず、彼は神の足跡をたどり、そして多くの新しい事柄を発見し、現在ではランカー・マイの下位カルトとして「野の賢者」の多くから信仰を集めている。彼がヒーローたちをカルト名で呼びかける(エルマルの信者【Elmali】ではなく、エルマル【Elmal】と呼びかける)のは、彼の目にはヒーローたちが神そのものと映っているからであり、ヒーローたちは既に神話の再現に巻き込まれている訳である。
シーン3:少年登場
キーポイント
そとで声が聞こえる。その声のする方を探してみれば、少年ハーバーがおり、母親を探している。セッティング
暖かな避難所からまた厳冬へ。アクション
ヒーローたちが暖をとっていると、外から声が聞こえるような気がする。声を聞き取る(5w)
勝利すれば、誰か外にいることが解るが、敗北の場合、吹雪の音にかき消されて、何も聞こえない。幾度か繰り返し、最終的にはチェアナンが気付くが、その場合、ハーバーの健康状態が朦朧→負傷→重態→瀕死と悪化していく。
これにより次のシーンでの追跡に出発するのが遅れた場合、その遅れ方によりトロウルたちの戦闘準備の度合いを変える。
ハーバーから話を聞くと、母親ニイラと2人で吹雪を避けているところ、トロウルに襲撃されたということで、母親を探し出すために協力してくれ、とヒーローたちに依頼する。
ハーバー
キーワード:ヒョルト、狩人、オデイラ
能力:〈狩りを手伝う〉15
シーン4:追跡行
キーポイント
武器を無くしたハーバーに遠隔武器を貸し、追跡を開始する。そしてやがてトロウルを発見する。セッティング
好きなように追跡させよう。ただ追跡を続けていくと、それにつれて(平地に行こうが山地に行こうが)ドンドンと雪が深くなる。アクション
ハーバーは武器を無くしたということで、ヒーローたちに遠隔武器を貸してくれ、とお願いする。追跡を開始するが、そこはヒーローたちが知っているクイヴィン山脈とは違う風である(過去の、神話時代のクイヴィン山脈であるため)。
このシーンでは追跡となるが、ヒーローたちの作戦を聞いて継続判定にするよもし、簡易判定ですますのも良いだろう。
シーン5:トロウル!
キーポイント
トロウルを発見し、戦闘となる。セッティング
雪深い場所。アクション
ヒーローたちの存在に気付けるのであれば、トロウルのオバナグは、ヒーローが気付くようにトロウルキンを配置し、自分はヴァニーカラの神力《暗黒》の神技《影に逃げる》を使用して隠れ、魔術で武器や鎧の強化といった準備を済ませている。その度合いは、シーン3、シーン4での進行の遅れ具合に由来する。オバナグ
キーワード:ウズコ、戦士、ヴァニーカラ帰依、ゾラック・ゾラーン入信
魔法:《投げつけ:15w2》《暗黒:15w》《狂戦士:1w》《暗黒:15w》《憎悪:1w》
能力:〈近接戦闘:1w〉〈鋭敏なダークセンス:17〉〈敵の評価:1w〉〈光に弱い:15〉〈不意打ち:17〉〈苦痛無視:20〉〈敵に忍び寄る:17〉〈敵感知:5w〉
武器:呪付済み鉛のモール^6、スリング^5
鎧:呪付済み鉛を用いた複合鎧^5
戦術:オバナグは距離を置いてスリングで石を投げつけてくる。その際、彼女は世俗能力ではなく、ヴァニーカラの神力《投げつけ:15w2》を使用する。第一投目は《多くの石をスリングで投げる》神技で全員を攻撃してくるが、それ以降は基本的に《巨石をスリングで投げる》神技で攻撃してくる。投げつけるのは普通の石だが、まるで巨大な岩が飛んでくるように見えるし、ダメージも^5となる。防御としてはゾラック・ゾラーンの神力《暗黒:15w》の《スティクスの鎧》神技で堅くすることができるだろう。人数差が気になる場合や、APが足りないと感じる場合、適時トロウルキンのAPを足しこむこと。またヒーローたちがオバナグとの距離を詰めようとすると、トロウルキンたちが石を投げるなどして邪魔してくる。そのため移動には判定が必要である。
結末
トロウルを退治することができれば、吹雪はさる。この事件の後、どんどんと暖かくなっていき、正しい季節に戻る。今回はこの寒さと吹雪が、神話上の闇の勢力の襲撃であったわけである。そしてトロウルを退治し、奪われたスリングと作物(ニイラ)を盛り戻すことによって探索行は無事成功裏に(トロウルとしては失敗として)終了する。シーン4にて武器を貸与していたヒーローは、オバナグを倒し、そのスリングを奪い取ることによって、紛失していたマスタリィを取り戻すことができる。そしてそれだけではなく、貸し与えていた武器もハーバーから返してもらえるが、その武器にはトロウルの戦女神ヴァニーカラの神技が付与されている。以下のうちから付与する神技を選ぶこと。
- 《多くの石をスリングで投げる:20》
- 《巨石をスリングで投げる:20》
- 《見える距離までスリングで投げる:20》
その付与された武器によって、「スリング」の部分を変えても良い。
ヒーローポイント(一人頭)
- 5点(ただし1点は各自信仰する神の神話能力を上げることを強要)
報酬
- 略奪品
- スリング(ヴァニーカラの神力《投げつけ》の神技《多くの石をスリングで投げる》が能力値20で呪付されている)
メモ
お誘いを受けたと言うことで、何かしら奇天烈なエピソードを作ろうと、巻き込まれ型ヒーロークエストとしてみました。実際、グローランサ世界は極端な場所に行くと物質界と神界の境目が揺らいでいくので*1、寒過ぎたり暑過ぎたりといった状況もまた、行き過ぎれば境目が揺らぐだろうと思ったわけです。その上で、ヒーロー(の主人公格)にヘドコーランスがいるということから、「トロウルから挑戦されてオーランスが勝利し、そいつのスリングを奪ってヘドコーランスにあげた神話*2」を元に、「ヘドコーランスがトロウルにそれを取り上げられて、奪い返しに行った神話」を勝手にでっち上げて、組み込んでみました。
大体、『ヒーローウォーズ』をするのは一年ぶりということで、結構ルールを忘れていました。代用修正のデフォルトのペナルティを−3ではく、−5だとばかり思い込んで、バシバシ−5を基準に判定にペナルティを与えていたのは申し訳ない限りです。
一応予定では
- カップス
- エピソードの主軸になるので、特定の見せ場は無し
- ラグナール
- 《雪上を走る》や〈避難所を見つける〉を見せ場とする
- レギーナ
- 《元素と戦う》が色々応用効いて見せ場を用意
- カスホル
- 《暗闇に抵抗する》《ウズと戦う》など、クライマックスの戦闘が見せ場か
などと考えてシナリオを組んだのですが、いやまあやはりダイスの神様は意地悪で中々思い通りにはなりませんでした。特にラグナールことOTOさんのダイス運にはただただ爆笑するばかりでした。本当にステキ。
それに対して私のダイス運も中々によく、このセッションの最中に「1」の目を5回か6回くらいは見ました。……このダイスは『DnD』で使用するのは止めときます。
それと戦闘に際して、みんなが平行に各々のキャラクタを強くするのではなく、カップス一人を集中して強くしようとするのには驚きました。パーティに見えてパーティではなく、各自の利益追求集団である遊劇旅団の面子ではなかなか見られない光景かな、これは。
そのため最終的にカップスのスリングのエッジはとてつもない数値となり、容易くAPを20点とか削られるのをみると、もっと鎧のエッジをつけて置けばよかった、と実感。もしくはウダウダといらない作業をするのはやめて、15w2の力でカップスを沈めておくべきでした。
それに気付いてから実行に移し、実際、カップスを朦朧状態にまで追い込んだのですが、カップスはヒロイックに成功し、ヒーローポイントを消費してAPを奪い取り復活。そして最後はエルマルのカスホルにトロウルはやられました。
ともあれ皆さん、お疲れ様でした。また機会があれば誘ってください。