馬、およびその他

 翼を折られ、牙を抜かれ、爪を剥がれたヒポグリフ王がオーランスの農場を訪れたとき、多くの神は彼を忌避したが、エルマルはそれがヒポグリフ王だと見抜き命を救った。王はそれ以来エルマルにひざまずき、その子らは馬と呼ばれるようになった。そんな感じの神話です。
 んで、その後、別の神話となって「エルマル、ステキー! 馬、ステキー!」と恋に落ちたアーナールダの娘リダルダ【Redalda】が出てきます。彼女はエルマルとくっついて馬の女神になるのですが、このあたり実は「ヴィングコットの子らのサガ」に関連した物語があります。
 サガによると、ヴィングコットと冬の妃との間の末娘の名がレダイルダ【Redaylda】と言い、彼女は“騎手”ベレネス【Bereneth】と結婚しました。そしてベレネスはセアード上流のベレネステーリ族を創始したと言われています。
 さてセアードというのは現在はルナーの地であり、古来より太陽信仰者と嵐信仰者とが争う土地でした。このセアードの地にはレラディーヴァ【Reladiva】という女神がいます。この女神の夫はヘリアカル【Heliakal】。神知者によってイェルマリオと同一視される神です*1。そしてイェルマリオで有名な「黄金の丘」もこの地にあります。そう古来より太陽信仰者と嵐信仰者とが争う土地にあるのです。
 リダルダとエルマル、レラディーヴァとヘリアカルについては神の物語なのですが、レダイルダとベレネスについては神話時代、ヴィングコットの子らの時代なので小暗黒の時代、嵐の時代、銀の時代なんだとは言え、これはサガであり、人の物語なのです。リダルダの神話を『Thunder Rebels』だったか『Storm Tribe』だったかで読んだとき、神話創生を見た気がして結構感動したものです。

*1:「同一視」他にイェルマリオと関連して見られる神としては、ヒョルトのエルマル、ダラ・ハッパのアンティリウス、エルフのハラマリオなどがいます。