『7th Sea: Second Edition』の判定
このゲームの判定は「リスク【risk】」と呼ばれる。文字通り、危険でなければ判定でない。そして危険であるが故に、判定つまりリスクには成功しても失敗しても「代償」が付きまとう。この代償を伴わないのであればリスクではなく、そもそも初めから判定など行われない。
その「代償」を含めたリスクの3要素や、このゲームにおける成功度とも言うべきレイズ【raise】の算出など、この判定全体には幾つか他には見られない点が見受けられる。
ここではその、判定方法の特徴的な部分について触れていく。
リスクの3要素
さて先述の通りリスクは3つの要素に、つまり「手段【Approach】」「代償【Consequence】」「好機【Opportunity】」に別けることができる。といって、「手段」は何ていうことはない。どんなマスタでもプレイヤでも普段からやっていることで、マスタによる舞台設定、状況説明の後、
- 問題解決のために何をするのか
そこの決定が「手段」である。これによってリスクに使用される能力値(2〜5点)と技能(0〜5点)が決定され、その合計点が実際に振るダイスの数となる。
マスタ「城中、今いる部屋は燃えて、また色々と破壊されてる。何かするなら3つの物が目に入る。壁にはタペストリー、それからシャンデリアがロープで吊るされてる。また鎧一式が飾られてる。どうする?」
プレイヤ「シャンデリアのロープを切って、それで下に降りよう」
マスタ「OK、〔筋力〕+〈運動〉のリスクかな。君は炎を避けてロープを切って、それを使って壁まで降りようとする」
代償と好機
次に「代償」がマスタによって決められる。どんなリスクであっても最低1つは課せられる
- リスクを試みることで負う不利な要素
のことである。しかし「決して避けては通れぬ」と、そこまでではない。
成功度数であるレイズによっては避けられるペナルティであり、代償宣言時に「いくつのレイズによって回避できるか」これも同時に宣言される。
マスタ「さてさて代償は、炎が燃え盛ってて窓際にたどり着くには火傷で2負傷だ。それが嫌なら1レイズ払えば1負傷、2レイズ払えば2負傷はチャラにしよう」
そしてレイズによって買えるのは代償の打ち消しだけではない。こちらは必ず起きるわけではないが、マスタの判断により時にボーナスとも言うべき「好機」が発生する。これは
- リスクそのものには関係ない有利な機会
であり、これはレイズを使うことで勝ち取れる。
マスタ「それと好機も1つ。テーブルの上に例の悪漢からの手紙の束があるね。ただし炎がすぐ間近まで迫ってる。脱出の間際に手紙を入手するなら1レイズの支払いが必要」
ダイスロールとレイズ
さてリスクの解決方法ではあるが、「準備」で指定された能力値と技能の点数の合計分だけ10面体ダイスを振る。そしてその出目を組み合わせて、いくつ10以上を作れるのか、その数が成功度数というべきレイズとなる。
極論、ダイスを2個振って10のゾロ目であれば2レイズであるし、ダイスを9個振ってすべて出目が1なら0レイズになる。
〔筋力〕4で〈運動〉2。振れるダイスの数は6個である。結果、出目は10、7、5、5、2、2。
10を作ってみると、10(1レイズ)、5+5 = 10(1レイズ)、7+2+2 = 11(1レイズ)の合計3レイズであった。
レイズの使用
ここに至って、リスクの結果が明らかになる。ダイスロールで得たレイズを払い、行動成功や代償の回避、好機を買っていくのだ。
まずはそもそものリスク成功のため、1レイズは必ず支払わなければならない。
ダイスロールの結果、1レイズも作れなければそのリスクは失敗である。また1レイズしか作れなければ、リスクそのものは成功するが、代償はすべて被るし、好機があってもそれは見逃すしかない。
1レイズだけでは、行動に成功してもペナルティを被る限定的な成功に過ぎず、一般的なRPGにおける問題の無い成功をなすには、最低でも2レイズ以上は必要となる。
プレイヤが得たのは3レイズ。まずは1レイズを使って、窓にたどり着きロープを使って壁を降れることにする。次に1レイズで、代償の2負傷のうち1負傷を打ち消す。そして最後に残った1レイズで好機を掴み、脅迫状を手に入れることにした。
要はこれまた準備と同じではあるのだが、マスタを経験してる人なら感覚的にやっているであろう、
- 「うーん、1成功か。じゃあ何とかギリギリ成功したよ」とか
- 「お、クリティカル! じゃあついでに追加情報をあげよう」
そういった演出のルール化になる。
他のよく見るシステムと違うのは、そういうった選択肢を事前にマスタが指し示し、そしてそれに対してどのように成功度を利用するのか、それをプレイヤに委ねるのが『7th Sea: Second Edition』の判定となる。
今まで何度か触れたことだが、シナリオの揺さぶりや行為判定といったところにこういう形でプレイヤが関与する余地をあらかじめ作って、そしてそれをシステム化している、そこが『7th Sea: Second Edition』の肝になる点なのだと思っている。