仁木英之『僕僕先生』(新潮社)

 読了。
 第18回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

時は唐代。若き王弁は父の財産に寄りかかり、学ばず、働かず、娶らず、ひたすら安逸を貪っていた。そんなある日、父の命で黄土山へと出かけた王弁は、そこでひとりの美少女と出会う。自らを僕僕と名乗るその少女、なんと何千何万年も生き続ける仙人で…不老不死にも飽きた辛辣な美少女仙人と、まだ生きる意味を知らない弱気な道楽青年が、五色の雲と駿馬を走らせ天地陰陽を大冒険。

 しかも美少女仙人である僕僕先生がボク少女であるという、何このキャッチーさ。
 キャラ立ち良くって、すいすい作品に引き込まれるのが楽しく、特に主人公と吉良との交わりが良かった。この2度に渡る交わりでの主人公の成長ッぷり、もしくは己の内面への自覚っぷりが見ていてスンゴイ気持ちよかった。その反面、西方からの老人との交わりやラストなどは、もう少し掘り下げればなぁ、などと思うくらいあっさりし過ぎてて、やっぱどっとはらいってのは難しいもんなんだなぁ、とか思わされましたが、それでも読んでよかった作品でした。 
 仁木英之って名前は当面覚えておきます。
 ああ、あとイラスト良すぎ。