馬の民

 アナクシアル朝のマナルレイヴァス天蓋帝の時代(108,677〜109,399年)*1、北方より氷河が押し寄せており、マナルレイヴァスは帝国を巨大な天蓋で多い氷河を防ぐことにした。しかし一番南に位置していた都市ニヴォラ*2はこの計画に反対し、他にいい方法はあると祖馬【first horse】を皆に教え、これを馴らし、乗りこなした。皇帝はこの反逆を呪い、そのため彼らの神は名を忘れられ、その神を知る者はいなくなり、新たな神を見つけなくてはならなくなった。そして氷河は押し寄せ、ニヴォラの民は馬に乗り四つの集団に別れ四方へと旅立った。ニヴォラは塵へと返った。彼らはその女神ガーマラ*3【Gamara】の子(馬)に乗り、馬の父カルグザントに従った。彼らのうち南に向かったものはハイアロールの民となったという説もあり、また東に向かったものは“星光の祖”【Starlight Ancesters】になったという説もある*4
 “星光の祖”は今で言うエルフ海近辺をその居住地としていたと見られるが、ある日そこを出発した。ポラリストール川の流れに沿って移動したと見るのが自然だろう。神である“星光の放浪者”*5の子タルゴス【Targos】の時代にはトーラン近郊にいたと思われる。そしてその子ハイレンマダー【Hirenmadar】の時代になって彼らは廃墟寸前のライバンスへとたどり着いた。そしてその子ジェナロングは眠れる都市神ライバムス【Raibamus】を目覚めさせ都市を復興させ、十の試練を受けダラ・ハッパ帝国の皇帝となった。こうして帝国は再建されたのである。これが110,800年のことであり、ジェナロング朝の始まりであった。すなわちジェナロング朝は馬神カルグザントを崇める遊牧民族が支配する時代であった。*6
 ジェナロング朝の次の皇帝がゲルスコガール帝であり、彼の統治7年目、即ち111,000年、世界は曙を迎える*7
 続く皇帝はヴラノストゥム帝である。セアード南部、すなわち今で言うアガー、ホーレイ、ターシュ、オルムズゴーン渓谷はハイアロール人の前歴史時代の故地であり、彼らは「虚言の部族【Liars Tribe】」と呼ばれていた。彼はその虚言の部族から出た皇帝であった。彼は外敵から臣民を良く守った皇帝であり、ダージーンの地では“影の乗り手”アーゴーム【Argoom the Shadow Rider】と戦い、これを屠っている*8
 関係は解らないが、これの事件の前後、虚言の部族が北西へ移動しリストの森近くで「純粋な馬【Pure Horse】」と名前を変え、そして最終的にダージーンに定住し、そこが新たなハイアロール人の土地となっているのは注目に値する*9

*1:「マナルレイヴァス天蓋帝の時代(108,677〜109,399年)」『The Fortunate Succession』p.9

*2:「ニヴォラ」セアードに位置する。現在のジラーロに同定できるか?

*3:「ガーマラ」『The Glorious ReAscent of Yelm』p.75に記載あり。神々の壁画の四段目に書かれており、「彼女は叫んでいる、そしてその腕は切り落とされている」と説明されている。

*4:「北方より〜」『The Glorious ReAscent of Yelm』p.30-32

*5:「“星光の放浪者”」リレディウス【Reledivus】かカルグザンド。

*6:「“星光の祖”は今で言う〜」『The Glorious ReAscent of Yelm』p.37-39

*7:「ジェナロング朝の次の皇帝が〜」『The Fortunate Succession』p.15

*8:「続く皇帝はヴラノストゥム帝である。〜」『The Glorious ReAscent of Yelm』p.40

*9:「虚言の部族が〜」『The Fortunate Succession』p.15