田園類第七
- 田
- 『釋名』によると、土を耕やしたものが田となるとのことである。音は「従年」の反切(和名は田【太/タ】)。『漢鈔』によると、水田(熟田【古奈太/コナタ】)。田の中は満ちるものである。
- 釋名云、土巳耕者爲田。從年反(和名、太)。漢鈔云、水田(古奈太)。田填也。
- 佃
- 『唐韻』によると、佃は田と書くとのことである。音は田と同じ(和名は佃【豆久太/ツクダ】)。
- 唐韻云、佃作田也。音與田同(和名、豆久太)。
- 火田
- 『漢鈔』によると、(焼畑【也以八太/ヤイハタ】)とのことである。
- 漢鈔云、(也以八太)。
- 疁
- 町
- 畔
- 『陸詞』によると、畔の音は「半」。田の境とのことである(和名は壠【クロ/久呂】、畔【アゼ/阿世】ともいう)。
- 陸詞曰、畔音半。田界也(和名、久呂一云阿世)。
- 畠
- カン*3
- 音は「呼旦」の反切。麦を耕す土地である。『唐韻』には、カンは耕し、田には畦を作るとある。『日本記』師説でいう(畑【八太介/ハタケ】)。
- 呼旦反。耕麥地也。唐韻、カン耕、田壠。日本記師説(八太介)。
- アワ*4田
- 『日本私記』によると、アワ田(粟生【阿八不/アワウ】)とのことである。また粟とも書く。
- 日本私記云、アワ田(阿八不)。又作粟。
- 豆田
- 『日本私記』によると、(豆生【萬女不/マメウ】)とのことである。
- 日本私記云、(萬女不)。
- 塍
- 畝
- 『陸詞』によると、畝は面積の単位だとのことである。音は「牡」(和名は畝【宇禰/ウネ】)。『唐令』によると、田の面積でいう一歩、これを二百四十歩で一畝とし、百畝で一項*5とする、とのことである。音は「去類」の反切。考えるに、項とは今の法でいう六町六段二百四十歩か。
- 陸詞云、畝數也。音牡(和名、宇禰)。唐令云、諸田廣一歩長、二百四十歩爲畝、畝百爲項。去類反。今按、項今之法六町六段二百四十歩。
- 畷
- 『四聲字苑』によると、田んぼの間にある道とのことである。音は「昌雪」の反切。『漢鈔』によると(畷【奈八天/ナワテ】)。
- 四聲字苑云、田間道。昌雪反。漢鈔云、(奈八天)。
- 培塿*6
- 畎
- 『陸詞』によると、畎とは田んぼの中の溝ということである。音は「犬」(和名は田溝【太三曾/タミゾ】)。
- 陸詞云、畎田中渠也。音犬(和名、太三曾)。
- 園圃
- 『四聲字苑』によると、園圃とは城で禽獸を飼う場所*9とのことである。音は「猨浦」(和名は園【曾乃/ソノ】。または園生【曾乃布/ソノウ】)。
- 四聲字苑云、園圃所以城養禽獸也。猨浦二音(和名、曾乃。一云、曾乃布)。
- 苑囿*10とのことである。音は「猨浦」(和名は園【曾乃/ソノ】。または園生【曾乃布/ソノウ】)。
- 『周禮注』によると、囿は今でいう苑だとのことである。音は「遠宥」。また囿の音は「育」でもある(和名は同上)。
- 周禮注云、囿今之苑、遠宥二音。囿又音育(和名、同上)。
*1:『続捜神記』:『搜藭後記』と同じ。
*2:江南畠種豆畠:『續搜藭記』にあるのは「淮南陳氏、於田中種豆」である。このことか。
*3:カン:[田偏に、漢の旁部を書く]
*4:アワ:占の口の中に公、脚部に米
*5:項:読みは「ケイ」。
*6:培塿:読みは【ほうろう】。
*7:コウ:[獣偏に苟]
*8:コウ:[獣偏に苟]
*9:園圃とは城で禽獸を飼う場所:『説文』だと園「果を樹える所以なり」、圃「菜を穜える所以なり」、苑「禽獣を養う所以なり」、囿「苑に垣のあるもの」とあり、意味が違う。
*10:苑囿:『説文』だと、園「果を樹える所以なり」、圃「菜を穜える所以なり」、苑「禽獣を養う所以なり」、囿「苑に垣のあるもの」とあり、意味が違う。