その13:ムハンマド

 ローマ帝国旧領北方にこうした動きのある中、一方で東方では新しい力が起こっていました。7世紀前半のアラビア半島にてムハンマドが創始した新興宗教イスラム教がそれです。
 彼はメッカ近郊で唯一神の声を聞き勧誘活動を始めましたが、彼らに対する弾圧は強く、622年メッカを捨てメディナへ移住します。そしてそこで力を手にします。宗教としてではありません。政治的な力を手に入れるのです。
 彼らはメディナでは新参者でしたが、逆にそのため旧来の部族間抗争には中立の立場でいれました。イスラム教はその仲裁者としての役割を果たし始め、そして部族が異なるから争うのであって、ともにイスラム教徒となることで同胞となれば争う必要が無い、と、信者を爆発的に増やします。それは630年にはメッカを征服、631年にはアラビア半島を統一する勢いでした。