その5:匈奴

 モンゴルに匈奴という民族がいました。月氏、テュルク族を追い、モンゴルを制圧し、古くより中華を苦しめた民族です。しかし漢の武帝の時代ともなると、後継争いで内紛が絶えず起こるようになります。紀元前54年には東西の匈奴に分かれ、西匈奴は漢の力を借りた東匈奴に倒されました。そして48年、今度は東匈奴が南北に分かれます。またもや親漢派の南匈奴北匈奴を追い、100年頃には反漢派である北匈奴南匈奴鮮卑族に圧迫されて、西に流れていきます。ところでこの匈奴、「キョウド」と読んでいると思いますが、古中国語では「フンヌ」と読みます。そう。その名称の類似性から、フン族の祖集団とする説があります。
 出自はともあれフン族は4世紀後半、カスピ海北方経由でドン川を東から西へと越え、375年にはゲルマン族中最東端の東ゴート族を征服します。このフン族に関連した物語としてあげられるのは「ニーベルンゲン伝説」でしょう。その中でブルグント族フン族と戦う場面があります。事実、437年にはライン河畔にいたブルグント族フン族に敗北しています。