笹本祐一『ARIEL (20)』(朝日ソノラマ)

 笹本祐一の小説の肝とは「日常からの脱却の瞬間である」か「時間物」、そう私は信じている。だから実は、既に非日常の世界を書き出し立脚してしまっている『ARIEL』というシリーズは、余り好きでなかったりする。

 なので中ほどの巻はほぼ買っていないのだけれども*1、それでもやはり最後の〆にかかった数巻の時には、『ハイ・フロンティア』や『ブルー・プラネット』の時同様に、ああ「コンゲーム」というか「政治っぽいものをグイグイと打破していく様」も面白いなァと感じさせられた。

 今回、ようやく十年以上*2もかかっていた作品が終わったのだけれども、キャラクタとか世界にお疲れ様って感じなのかなァと思っていたら、とんでもなくって、そのままホイホイと続きが出ますよ、と言われても疑問を感じないような有様で、実際、外伝やら何やら、まだまだあのキャラクタと世界は働きつづけるようで、祭りは終わってしまったのだけれども、まだ祭りの余韻には浸れる模様で、好きじゃあないとか言いながら、子供の頃からの付き合いがまだ続くようで楽しみでもあります。

*1:タイムトラブラー物くらいかな、買っていたのは

*2:だって1巻が1987/03ですよ。