巻物ストーリテリング・ゲーム『Fall of Magic』

注意:2015年秋のゲームマーケットには間に合わないことが確定しました。

いまや魔法は滅びに向かい、魔法使もまた同じ。
月影の地に我ら旅行く、魔法が生まれたその土地へ。



上でリンクしているYoutubeの動画は英語ですが日本語字幕が付いています。そしてその説明動画で説明するべきは抑えられているので、百聞は一見にしかずの言葉通りで、わざわざ何かを付け加える必要は実際のところあまりありません。ですが、文字であってもほんの幾つかは伝えられることがあると信じて、それをここで書こうと思います。。
まずこのゲーム、どんなゲームかも知らずに見てみて、一番に気になるのはやはり巻物だと思います。物理的な巻物で、実際にゲーム中に使用する巻物です。この巻物だけできゅんきゅん胸引かれる人もいるはずです。Kickstarterで一気に支援を集めることができたのも、やはりこの巻物の力だと思います。実際のゲーム進行でもこの巻物が一番重要*1になります。これはゲーム上で実際に使用される冒険の地図で、物語の進捗をしめしてもいます。プレイヤはゲームの進行に合わせて様々な話しを語らなくてはなりませんが、その語られるべき話のとっかかりを最初から最後まで提供するものとなっています。
そう、このゲームで重要なのは「語るべき物語」です。
みんなで語るストーリの概要はあらかじめ提示されていて、魔法が消え去りつつある世界で、プレイヤは全員が魔法使の従者となります。そして失われる魔法を守るべく、旅をし魔法そもそもの始まりの地である月影の地【Umbra】にたどり着きます。巻物は、その魔法使の住処から月影の地までの地図になっていて、プレイヤがそれぞれ持ち回りで地図上に書かれたキーワードを元に話しを語りあいます。
似通ったゲームとしては『ワンス・アポン・ア・タイム』(ニューゲームズオーダー/ホビーベース)がありますが、大きく違う点として、このゲームではゴールに至る道程はある程度示されていて、そして合わせて、またこれは協力型ゲームだ、ということがあげられます。誰かが勝利するのではなく、参加者みんなで協力し、「魔法が滅びつつある状況をどうするか」、この解決策を語るあいながら探ることになるのです。
それは魔法の復活という形になるのかもしれません。
プレイヤやキャラクタの同意が取れるのならば、魔法が滅びつつも何がしかの代案が提示され、世界は魔法の滅びに同意するのかもしれません。
それらはすべてプレイヤたちの協力や語り次第*2なのです。

さて、その語るゲーム、ストーリテリング・ゲームにおいて一番大きな障壁となるのが言語の壁です。
このゲームも冒頭のYoutube動画がしめすように元来は英語で書かれていて、英語話者を主たる対象としていました。しかし言語は相手に伝わるように翻訳できます。それはこのゲームにおいても適用されます。
このゲームの場合は開発者の意向でいくつかの言語への翻訳が決定されて、日本語にも本語母語者の手により翻訳されています。
つまり、ゲームマーケット2015秋で提供される版は日本語版で、動画の通り子供でも遊べるものに仕上がっている、ということです。

*1:一番重要:もしかしたら、というかもしくはもしかしなくても、一番重要なのは「プレイヤの強調」ではあるがそれはさておき。

*2:プレイヤたちの協力や語り次第:このゲームにはよく見るRPGにいるGMはいない。みんなプレイヤである。