嵐の部族の起こり

ある日のことでした。
幾たび戦っても炎の部族に勝てないことをオーランスは、最愛の妻アーナールダにこぼされました。アーナールダは落ち着いて諭します。
「あなたでは炎の部族に勝てないでしょう。勝ちたいのなら、あなたも部族を起こすべきです」
その言葉に衝撃を受けたオーランスは、仲間を求めて旅に出ました。
初めは兄弟でもある、「猫」氏族の長インキンを訪れました。「植物部族がうざいんだ」と言うので、オーランスは植物部族の戦士を倒して「ほら、仲間に入るべきだろ」と言いました。こうして「猫」氏族が仲間になります。
次によき法を求めて、「木の皮に刻んだ印」氏族の長である知識の神を訪れました。神は箱の中に閉じ込められておりました。「石の部族が閉じ込めたんだ」と言いますので、オーランスは箱を壊して「ほら、仲間に入るべきだろ」と言いました。こうして「木の皮に刻んだ印」氏族が仲間になります。

オーランス無双

次によき戦士を求めて、「すべてを憎む」氏族のヴェイドラスを訪れました。ヴェイドラスは青の部族と戦いたがってオーランスの計画に耳を貸しません。そこでオーランスは腕相撲勝負を挑んで勝って「ほら、仲間に入るべきだろ」と言いました。こうして「すべてを憎む」氏族が仲間になります。が、ヴェイドラスは言います。「インキンは俺を引っかきやがった。奴がいるなら、俺は嫌だぜ」 オーランスは何も答えずに立ち去りました。
オーランスは次から次へを諸氏族を集めます。「旅する」氏族の長である喋る神は「牛をもっと商売に使えるなら」と同意しました。「牝牛」氏族のウラルダは「氏族民がもっと一杯食事できるなら」と同意しました。「穀物」氏族のエスラは「作物を外に持ち出しすぎる「旅する氏族」がいないなら」と同意しました。オーランスは次々と氏族を集めます。ある氏族は今も居ますし、ある氏族は離れていきました。追い出されたものもいますし、忘れ去られたものもいます。

会議

さてこうして仲間になった氏族を集めて、記念すべき第一回目の会議です。……大喧嘩になりました。あたりまえです。騒乱に継ぐ騒乱にオーランスは怒り心頭、全員をぶちのめすところでしたが、すんでのところでアーナールダが贈り物を持ってきました。まずは氏族長の証の首飾り。オーランスはこれをみんなに与えます。そして彼女は全員を「理解の館」に案内すると、話し合うことで各々喧嘩を止めて和解しました。最後にオーランスに権威の王冠を与えます。こうして諸人、オーランスの神聖な力に敬意を払うようになりました。
すると何処からか闇の部族が攻め込んできました。それぞれ氏族だけなら餓えた敵に負けてしまっていたことでしょう。しかしお互い協力することで、夜の戦士を打ち破ったのです。こうしてオーランスは王となり、嵐の部族が誕生しました。

後日談

ある日、オーランスは振り返り「なんで闇の部族の連中が会議のことを知っとったのかなぁ?」と、ふと疑問を漏らされました。アーナールダはただただにっこり微笑むばかりで、オーランスはそのことを考えるのをやめました。