『隠された記憶』

テレビ局の人気キャスターであるジョルジュと美しい妻アン、一人息子のピエロは、フランスの豊かな中産階級として、友人に囲まれ、日々幸せな生活を送っていた。そんなある日、ジョルジュの元に送り主不明のビデオテープが不気味な絵と共に何度も届くようになる。ビデオテープに映し出されたのは、ジョルジュの家の風景と家族の日常。誰がどこかに隠れて一家の日常を撮影している。そして回を追うごとに、単なる映像が徐々にプライベートな領域へとエスカレートしてゆく。漠然とした不安が恐怖へと変わっていくジョルジュと家族。恐怖とお互いへの不信感から均衡を崩してゆくそれぞれの心。
誰が何の目的で…?
家族に亀裂が生じ始めた頃、やがてジョルジュはある遠い日の記憶を呼び覚ます。あの時の、あの出来事…。記憶の底に隠された“無邪気な悪意”が引き起こしたものとは…?
そしてある日息子がいなくなった――。

 という訳で、観た。そして騙された。何に?って、映画にってよりも、配給会社に騙されました*1。ネタバレは書かないようにして置くとして、それでも二の舞を防ぐために書いておくなら、この映画、公式サイトに書かれているような深層心理サスペンスではありませんでした。
 いや、サスペンスはサスペンスなのですが、飽くまでもサスペンス仕立てというだけであって、この映画の主目的として置かれているのは全然別物なのでした。という訳で、サスペンス脳で見に行って大失敗。という訳で、心構えが全然違ったもんで、残念無念、ろくな評価もできません。一番素直な感想としては、「フランスの路駐はガチ」だとか、「やっぱフランス映画は間が長いねぇ」、この二つか。
 以下、ネタバレというか愚痴。
 で、まあ、「じゃあどういう映画だったのよ?」というと、アルジェリア独立戦争あたりにアルジェ移民に対するフランス政府による弾圧事件があったのだけれども、そのことを様々なメタファーで暗示しつづける社会派映画なのでありました。

  • 主人公=フランス
  • ビデオを録る犯人のアルジェ人=アルジェリア
  • ビデオを送る真犯人である主人公の息子:フランスの今の世代

 んまあ、これが基本か。
 つか改めて公式サイトに記されたストーリーを読むと、酷いなコレは。
 上で息子がいなくなった、とか言ってるけど、親に内緒で友達の家に泊まりに行っただけで、翌日には帰ってきます。んでから、公式ページでは衝撃のラストシーンって謳っているけど、パンフでは監督自らがこの映画の本質は謎解きなどには無くって、あのラストシーンは不要なものだ、ただ知りたがる人がいるから付けただけ、などと言っているあたりが、もう配給会社の駄目さっぷりを表していると思う。

*1:「騙されました」ミハイルに騙されたって意見も(少し)ある。