その23:征服公

 当時、ノルマンディー公領では、1035年、“華麗公”ロベール【Robert le Magnifique】が死に、その後を継いだのは庶子ギョーム【Guillaume le Bâtard】でした。彼はこの年、いまだ8歳。当然のように、公位を狙う者が出現し、長年の騒乱の末、1050年にノルマンディーを平定します。
 その後、彼の目は前年までの自領同様に政局穏やかでないアングルテールに向けられました。そして1066年6月にアングルテール王が死亡するや、ギョームはアングルテールへ乗り出し、後を継いだ王を10月には打ち破り、アングルテールを征服、同年クリスマスにウェストミンスター寺院でアングルテール王として戴冠しました。これをもって彼は“征服公”ギョーム【Guillaume le Conquérant】と呼ばれるようになります。
 この1066年はハレー彗星が訪れた年でもありました。ギョーム公によるアングルテール征服を記念したバイユーのタペストリーにもハレー彗星が描かれてます。